ささやかな幸せを求めて

旅と食と読書を通して人生のハッピーを追求しています。

バラマキ合戦!

「心あるモノ言う犬」の考察


いやいや・・昨今自分には理解出来ない事ばかりが起こる時代になったと嘆いていたら、遂に「犬」が10/8日発売の月刊「文芸春秋」に寄稿したと聞いて、更におったまげてしまった。( ゚Д゚)



それも唯の犬ではなく「心あるモノ言う犬」だと聞き、息を切らして書店に走った。




縁日の見世物小屋の類ではないかと眉に唾しながら目次を眺めても犬が寄稿したらしき形跡が無い。



「騙されたぁ~」と臍(ホゾ)を噛みながらスクープものから目を通していくと、何やらキナ臭い記事が出て来た。



なんと本年7月7日に財務省の新次官として就任した「矢野康治」氏が、先の自民党総裁選や次の衆院選での経済対策を巡る論戦について「バラマキ合戦」と称して諫める論評を寄稿していたのだ。


f:id:kanehiro-sakae:20211012201655j:plain
「心あるモノ言う犬」でも何でもいいが、公僕としての務めは果たして欲しい。



それも自分の事を「心あるモノ言う犬」と卑下しての寄稿であった。



「不遜」である。



矢野氏と言えば、一橋大学を卒業後、旧大蔵省に入省。常に出生街道をまっしぐら、主税局長、主計局長を歴任し鳴り物入りで官僚の頂点である「次官」にまで上り詰めた、「エリート中のエリート」である。



こんな男は七度生まれ変わろうと自分が「犬」だなどと思うはずもない。



心の片隅に微塵も無いくせに、この卑下た物言いは「不遜」以外の何物でもない。



正論だと思ったら正々堂々と「財務次官・矢野康治」を名乗ればいいし、『麻生副総理も了解している』などと余計なバリアを張る必要も無いのだ。



主人の背後から腰を引きながら横目がちに吠える犬のようで、みっともない事この上ない。



もう一度言っておこう・・『あぁ~、みっともな~い』(´Д`)


f:id:kanehiro-sakae:20211012201716j:plain
「政治家に直言できる官僚」を自負しているという矢野康治財務次官。もうすぐサヨナラの気配が・・・。


矢野氏によれば『日本の長期債務(国債)は1,166兆円で、先進国では突出している。今の日本の状況を喩えれば、「タイタニック号」が氷山に向かって突進してゆくようなものだ』と断じている。



『財務次官ほどの者がわざわざ寄稿して言っているのだから、このまま岸田総理が唱える経済対策に突き進んだら、日本の財政は早晩破綻を迎えてしまうのねぇ~(´Д`)』と思った読者諸兄、ご心配には及びません。



「マヤカシ」です。



彼は単式簿記的な一般会計に於ける収支と国債の大きさだけでこの稚拙な映画を語ろうとしているのである。



彼の言葉をそのまま借りると『日本人はそんなに愚かではない』のだ。



国の予算は一般会計だけではなく、特別会計、政府関係予算もある。



更に経済は複式簿記による「損益計算書貸借対照表」で回っているのだ。



そして、何よりも「個人金融資産1,948兆円」「民間企業の金融資産1,275兆円」という莫大な国民の金融資産がその背景に在るのだ。



彼はコロナで疲弊しきった中小零細企業への経済対策を怠って一体何を成し遂げようというのであろうか?



40℃の熱を出して唸っている病人を、「薬を買う金はもうが無い」からって、そのまま働きに行かせられますか?



先ずは熱を下げ、体力を回復させてから、働いてもらうという順序を踏むのが道理というものでは有りませんかなぁ?



そもそも花の財務官僚たる者が、こんな薄っぺらな論理で国民を欺けると思ったのであろうか。
いやいや・・・決してそのような事はあるまい。



穿った見方をすれば・・・頭の良い官僚の事である、これ以上先の無い薄給の「次官ポスト」よりは、ここで大蔵省の「伝統的財政規律論」をぶち上げて守護神を気取り、大蔵官僚OB達へ好印象を残すことにより、OB達が張り巡らした「魅惑の天下りポスト」を得ようという作戦に出たのではあるまいか?



「ボク、何処かの財団の理事長を三年ごとに渡り歩き、その都度サラリーマンの生涯年収のような退職金を貰うんだも~ん」の声が聞こえて来そうである。



もうこの手の輩は「バカボンのパパ」に成敗してもらうしかないのだぁ~(`^´)>



今日の幸せ



人が「利」を得るには必ず「投資」というものが必要になる。



投資こそ資本主義の根底を為すものであり、投資無き利は「浮利」と呼び受け取る「謂れなき利」である。



投資も成長も無い中で、出鱈目の論理を振りかざし官の利たる増税をチラつかせるとは何たる思い上がりだろうか。


f:id:kanehiro-sakae:20211012201730j:plain
20世紀日本の興隆は渋沢の「論語と算盤」にその礎が在った。

只今NHKで好評放映中の「青天を衝け」の主人公にして日本の実業界の父と呼ばれた「渋沢栄一」は官に在りながら、「官尊民卑の打破」を目指した偉人である。



生涯に500を超える私企業を創設し、600を超える社会福祉事業に参画したという。



驚くべきことに、それら企業の中に渋沢の私企業は一つとして無いのである。



事業の構想が有ると、そこに資金と人材を付け、自分は外からオーガナイザーとして発展を見守る。



近代日本を産業界から創った男、まさしく実業界の「花咲か爺さん」である。💗



同じ明治期に大実業家として並び称される三菱財閥の祖「岩崎弥太郎」が居るが、渋沢栄一とは「人間としての格」が違い過ぎて語るべくもない。



経営の神様ピーター・ドラッカーは、渋沢の業績についてかく語り最大限の賛辞を贈っている。


「渋沢は誰よりも早く企業と国家の目標、企業のニーズと個人の倫理との関係という本質的な問いを提起した。20世紀に日本は経済大国として興隆したが、それは渋沢栄一の思想と業績によるところが大きい」

渋沢栄一の名は、国外ではわずかの日本研究家が知るだけである。しかしながら彼の偉業は、ロスチャイルド、モルガン、クルップ、ロックフェラーを凌ぐ」・・・と。



我々は今こそ「官」から第二、第三の渋沢栄一が出てくることを切に願うのであるが・・・・無理かぁ~(´Д`)